毎日少しずつ色々なことを思い出す。そして同じだけ忘れ去る。穴の空いたバケツのように。

顔が不器用になったとき以来、毎朝鏡を見ることにしている。目が動くことを確かめ、口が動くことを確かめ、耳が動かないことを確かめる。そして20歳らしい顔付きになっているのだろうかと思う。20歳らしい顔付きというのがどういうものかは分からないけれど、15歳ではもう通用しないし18歳でもすんなりとはいかないだろう。22歳なら何とかなるかもしれないし、25歳でも不思議ではない。大体、そんなところに落ち着くような気がする。19歳を人生の一応の折り返し地点に決めている。昔、38歳で死ぬと予言されたからだ。38歳の時、路地裏で全身を猫に引き裂かれて死ぬと彼女は言った。僕の前世はしゃもじで、彼女はネギだとも言った。悪くないアイデアだ。

ある友人の部屋に行った時、全身鏡を見つけた。「全身鏡なんてどうするんだ?」と僕は言った。「全身鏡は必要だろ」と彼は言った。世の中には全身鏡が必要だ。

回転木馬のデッド・ヒート』を読む。「レーダーホーゼン」は短編のお手本のような作品。これについてある教授が何かしら言及していた気がするけれど、うまく思い出せない。確か半ズボンがポイントなんだと言っていた。でもそんなことははっきりと書いてある。「この話のポイントは半ズボンにあるのよ」って。多分、もっと何かしら意味のあることも言っていたんだと思う。自信はないし信じる必要もないが、そう信じたい。後は短編小説の宿命的に、意味があり過ぎるものが続く。「雨やどり」もそんな具合だけど、最後がいい。

ソニック・ユースの『Hold That Tiger』を聴く。若気の至り炸裂って感じのライブ盤。嫌いじゃない。

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの『未だ見ぬ明日に』も聴く。何ですぐにミニアルバムなんだろうと思ったけど、聴いてみて腑に落ちる。『ワールド ワールド ワールド』に入れるとどれも浮いてしまう曲だし、かといって封印するには勿体ない曲だ。確かに『ソルファ』の頃にあった朝靄みたいな気持ちよさはなくなった。それはかけがえのない価値だったけれど、それでも今の方が好きだ。どの曲も充実している。「脈打つ生命」と「ムスタング」がいい。

インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』を見る。愉快で愉快。ジョジョオタ必見。インディシリーズではこれが一番好き。ショーン・コネリーは好きな役者だ。

いつもの席に今度は「うろん」とたくさん書いてあった。なんだか責められているような気がしてきた。

他にはオデッサの階段が突然現れて妙に頭にこびりついて離れなかった一日。