少し深みに入って何か取り出してくる必要があるな。もっと長い目で見守るべきなのかもしれない。半年か、それぐらい。去年書いたものを適当に繋げてみたが、量の問題は何とかなりそうだ。ライ麦あたりを一度解体してみるのも手だ。それと、動きのあるもの。

ブー・ラドリーズの『Wake Up!』を聴く。「Wake Up Boo!」はポップのお手本のように完璧な一曲。ホーンセクションやコーラスの使い方が古いイギリスの歌を思い起こさせる。だけどずっ爽快で、脳天気だ。ビートルズビーチ・ボーイズの明るい部分だけ上手に抽出した感じ。この後は幾つかポップになり切れていないポップが続くが、「Find The Answer Within」と「Reaching Out From Here」はメロディの美しさが際立つブリットポップらしい曲。そしてここから極端にシューゲイザー臭い音になっていく。というか、元々そっち畑のバンドなんだな。どれも若干散漫だが、「Martin, Doom! It's Seven O'clock」に始まり最後の曲「Wilder」に至るまで粒揃い。「Stuck On Amber」と「Charles Bukowski Is Dead」が特にいい。「Wake Up Boo!」で見せたセンスをもう一度発揮して欲しかったけれど、面白いアルバムだった。

時々分からなくなってしまうのが、僕が当然と思っている事柄を、ある種の人々は殊更に強調して表現するという点だ。どうして今更そんな分かり切ったことを大上段に言わなきゃならないんだ? こっちは土星の話をしているのに、彼らは金星まで話を戻す。そんなの承知だって思ってたのに、一体いつになったら外へ出られるんだ。きっと、問題は表現という層で発生しているんだろうな。内側はとうの昔に枯れ果ててる。実のところはお互い様なんだ。